タイトル獲得3期 名人3期
その風貌とライフスタイルから貴族とよばれる。
この本にはコラムが何本かはいっているが、タイトルは『貴族のコラム』である。
自分でも気に入ってるのだろう。最近のヘアスタイルはまさしく貴族である。
この本にはそういったことも書かれていて、好きなブランドはアン・ドゥムルメステールというベルギー生まれの女性デザイナーが立ち上げたブランドだそうだ。
そういったものにはまりこむ性分であり、そして積極的に楽しくしようとしているのだそうだ。それは確かにいいことだ。
あとは、奨励会時代や、プロデビュー後は同期に後れをとったこと、精神の整え方やコンピューターに負けたことなどが書かれている。
通常、プロ入りするのは三段リーグで半年ごとに2位以内に入らなければならない。ただ、次点を2回とれば、不利な位置からではあるがプロになれるのだ。天彦さんはその資格がありながら見送った。その後2位以内に入り結果としてプロとなったので正解だったのだが、これは危険な賭けでそのせいでプロになれなかったなんてことになったら目も当てられない。
ただ、それ以外にも意味があって、彼が特例による3枠目のプロ入りを見送ったせいで、プロに入れる人が一人減ってしまったのだ。例えば今年奨励会を退会した西山朋佳女流も、貴族が3枠目でプロ入りしていればプロになれていたかもしれない。
しかし、これはとやかくいってもしかたないだろう。
最後は、名人位につきつつコンピュータに負けてしまったことについて書かれている。このコンピュータと戦ったということはどうなのだろう。今やトップ棋士よりコンピューターのほうが力が上というのは周知の事実だが、そうはいっても、羽生九段や現在タイトルホルダーの渡辺名人、豊島竜王、そして藤井聡太二冠はコンピューターに負けてない(戦ってない)ので、負ける姿を見せたというのが勝負の世界でマイナスになってなければいいのだが。