平成26年発行の本。
前の本で先手石田流を解説したが、その後、後手が石田流に
組ませてくれなくなった。
先手7六歩に、後手3四歩、先手7五歩に後手が8四歩と付けば石田流になるのだが、その後に先手の変化が多い。後手はどの変化にも対応しなければならないので、8四歩とはつかない。
あるいは先手7六歩に後手が8四歩とつくと、これも石田流には組みにくい。
そのため後手が何をさしても先手は中飛車に組める中飛車を主流にするにいたったというのが久保さんの結論である。
そのため先手中飛車を解説してあるのだが、こちらは手が広い。相振り飛車もあるし、先手が向かい飛車に振り直すこともある。好みもあるし、石田流のような理想形やよくある形がないのだ。
久保さんが影響を受けたのは大野源一九段。昭和30年代に活躍した振り飛車党の棋士だ。振り飛車のさばきといったものを考えた棋士なのだろう。同じ振り飛車党でもその後の大山名人は、相手の動きを封じる、受け身を信条とするので、大野九段や久保さんとはかなり異なる。
この本にはコラムが4つある。できれば棋士の本にはコラムを入れてほしいものだ。