第64回テレビ将棋トーナメント 2回戦 第16局 畠山鎮七段×熊坂学五段

クマー、これに勝てば順位戦復帰も現実味を帯びる。がんばれ、熊。

後手番になったクマーの戦型に注目していたが、なんと角交換四間飛車。藤井さんが得意としている戦法である。後手から角を交換し、四間飛車を向飛車に振りなおす。後手番のうえに2手損するクマーらしい戦法だ。



先手が銀冠で堅い構え。後手の主張はどこだろう。解説の中川さんによると後手は2筋からは歩をついていけないそうだ。2筋に銀が進んでいっても効果は薄いそう。
じゃあ、先手優勢かなと思っていたら、先手から7筋の歩をぶつけていった。さすがまもるは攻めるという棋風をもつ畠山さんだけのことはある。



一気に攻めつぶされそうな気もしていたが、さすがクマーも一応はプロ。大駒を近づけて受ける歩の手筋で応戦。3筋の駒は使いにくいが、とりあえず受かっている。先手は王が固く一歩得。後手は角を手持ち。やっぱり先手の模様がよさそう。



クマーは5四歩と突いた。この歩突きにより後手は2七角から5四角成とする手ができなくなっている。つまり先手は飛車を動けるようになったのだ。すかさず4八飛車とした畠山七段。しかし、これはクマーがまいた巧妙な餌だったのである。



5五歩から2七角がクマー用意の一手。馬が中央にできれば後手が手厚い。このあたり、解説の中川さんもクマーは好調だけのことはあると言っていた。そういえば対局前のインタビューでも、クマーは最近好調だと自分で言っていた。



飛車角交換。先手玉は堅いものの、後手は飛車を敵陣に打ち込めて十分戦えそうだ。



先手は銀で飛車をいじめにきた。王とは離れたところに銀を打つのは筋が悪そう。このあたりではクマー有利かなと思った。先手は桂馬を打った。ここで後手が金をあがる強い受けをした。解説の中川さんはほめてたが、振り返るとこれは疑問のように思う。



攻め合い。ただ、こうなるとやっぱり先手の堅さが生きる。さらに馬の援軍もきいた。クマーの猛攻に先手が9八玉とよると、もう一押しが足りない。



投了図。
正直善戦したと思ってしまった私はクマーを応援する資格はないのかもしれない。ともかく、これで引退の可能性がまた強まってしまったクマー。がんばれクマー。負けるなクマー。