現代に生きる大山振り飛車 (プレミアムブックス)

現代に生きる大山振り飛車 (プレミアムブックス)

藤井猛さんの本を探していたら、これにあたった。

 

大山将棋についての解説なのだが、これがなかなかに面白い。

大山さんの強さについての解説である。

 

大山さんはキャリア中盤で振り飛車党に転向したのだが、もともと、乱戦志向が強かったので、振り飛車になるのは必然だったとの現代棋士の見立てだ。

 

大山名人は対局中に観戦記者に話しかけたりした。盤外戦術なわけだが、そのいっぽうで本音をなかなかもらさない人でもあった。

 

そんななか著作中の言葉は本音ではなかったかと著者の鈴木宏彦さんはいう。

それは、自分が居飛車のときに急戦にすると他の棋士に真似されてしまうので持久戦にしたというもの。

他、他の棋士振り飛車をすすめたのも、自分が一人がタイトル戦では振り飛車党(大山名人全盛期にタイトル戦を争ったのは、二上達也さん、加藤一二三さん、有吉道夫さんなど居飛車党の棋士ばかり)なので、彼らの研究を一人で相手していたからとか、相手に研究されないよう、わざと不利な変化に飛び込んだこともあったのではないかとか、なかなか面白かったね。

 

本の冒頭では、中原永世十段藤井猛さん、中川大輔さんの座談会。

AI全盛の今では大山将棋から学ぶことは少なくなりつつあるかもしれないが、またいつの日か、大山流の将棋が脚光を浴びるときがくるかもしれない。

 

学びの多い本であった。