振り飛車穴熊戦法―軽快にバランスよく攻める (将棋必勝シリーズ)

振り飛車穴熊戦法―軽快にバランスよく攻める (将棋必勝シリーズ)

棋士番号135

十段1期、王座1期。

 

散らかしたヘアースタイルと無精ひげという容貌はホームレスを連想させる。

関西弁の軽妙な語り口の解説が人気である。

 

これを書くために調べたら、A級経験はないそうだ。A級はあってもタイトルはないという棋士が多い中、これは意外である。

 

得意戦法は穴熊居飛車穴熊の元祖が寅ちゃんなら、振り飛車穴熊の元祖は文吾さんである。

 

この本はまえがきがあるものの、他にコラムや棋士との思い出話などはない。たんたんと振り飛車穴熊の解説と各章の最後に次の1手問題がのっている。

 

穴熊の中終盤は独特だ。一見、守りの戦法に思えるが、まえがきにあるように、福崎さんは攻めの気風。肉を切らせて骨を断つという戦いをするためには、美濃囲いではもろすぎるとのことだ。

そして、福崎さんの穴熊は守りの金が1枚前線に出て、バランス良く軽快に攻めるというのである。かつての渡辺明さんは、王を固めて細い攻めをつなげるという将棋だったが、そういった将棋とも違う棋風ということだ。

穴熊も多様である。穴熊だけに奥が深いのである。