有吉道夫名局集

有吉道夫名局集 (プレミアムブックス版)

棋士番号66

1955年19歳でプロ入り。

2009年度に引退。

 

大山十五世名人とのタイトル戦での師弟対決が有名。有吉さんが15歳のときに、内弟子として倉敷の大山名人の自宅に住む。一度も怒られたことはなかったそうだ。将棋を教えてもらっているとき、名人の指導に対して「先生はそうおっしゃいますが、本にはこう書いてあります」と口答えをしてしまったというエピソード。他、将棋連盟の理事をしているときに大山名人が会長しているときに会館設立の寄付を求め奔走したことなど。

 

タイトル戦登場9回で獲得は1度のみ。大山名人との勝負で勝てなかったのが大きい。この本によれば、当時は、大山名人に勝とうと闘志を出す棋士は多くなかったそうだ。ましてや、有吉さんは内弟子でお世話になった立場である。3勝4負で負けたのがいくつかあるのは、そういったところも影響しているのかもしれない。

 

ライバルとされたのは内藤九段。しかし、本人によればライバルとは思っていなかったそうで、個人的には山田道美九段がライバルだったそうだ。山田九段は珍しく打倒大山を掲げた棋士である。

 

有吉さんは、引退時には最高齢棋士となっていた。この1局を負けたら引退決定というときにあたった順位戦の相手は高崎六段。あちらは、これを勝てば昇級という一番である。その一番に有吉九段は勝って、現役を1年伸ばしたのである。これはテレビでも特集された。その1局もこの本に収められている。

 

火の玉流という激しい攻めが持ち味だが、そのあたりは棋譜を並べてないのでよくわからない。大山名人から同年代の二上さん、内藤さん、その後の谷川から羽生世代までの棋譜がある。大山名人が相手の場合は、負けた棋譜ものせているが、それ以外は勝っているわけで、なかなかすごいことだ。

刺殺されてしまった森安九段との棋譜もあるが、幹事をしているときに奨励会に入ってきた。詰みを逃した森安九段は大声を出して泣いてしまったそうである。