YOYOCHU SEXと代々木忠の世界

監督:石岡正人
公開:2011年
YOYOCHU SEXと代々木忠の世界 2枚組特別版 [DVD]
代々木忠を主役としたドキュメンタリー映画。時代を追いつつ、当時の関係者のコメントと当時の映画やAVの映像が流れるためとてもためになる。
さらにコメントはなぜか田口トモロヲで、これだけでもなぜか格調が高い。


1970年代にピンク映画で猥褻なんたらの罪でヨヨチュウは訴えられる。しかし、当時の社長は映画はヨヨチュウに責任があるとし、自分はうどん屋をやってたりしたそうだ。


ヨヨチュウのAV監督デビューは1981年で愛染恭子主演。彼女は、同年映画で本番を行ったということで有名。パナソニックがVHS販促のために買っていったということだ。
しかし、代々木さんの名を高めたのは、なんといってもザ・オナニーであろう。愛染恭子いわく、あれは私はできないとのこと。今まで女優が演技でやろうとしていたことを素人が素でやったわけで、関係者も女性がイクところを始めてとったのではないかということだ。
当時はビデオデッキの普及率が低かったため、映画館でも上映されたがどこも満員になった。
他にも愛染恭子さんを出した性感マッサージシリーズなども売れた。当時はよく売れたようである。


その後、恋人というAVも物議をかもす。同棲しているカップルをそれぞれ
男優女優と別室で一対一にするというもの。男優にやられてしまった素人女性に男が本気で嫉妬する描写。他に、本番後に監督がインタビューしたり、
加藤鷹が女優に攻められるなどといったところは彼は先駆者なのだろう。一貫して、隠していた自分をさらけ出すというところにこだわる人だ。


90年代に入るとダイヤモンド映像の全盛期。これまた、関係者のコメントでは売り上げのベストテンに代々木忠は入っていたというが、一位はダイヤモンド映像とか言っていたし、どうもこの時期は売り上げ的には村西さんのほうが上回っていたようである。おそらく、この時期は村西さんのダイヤモンド映像の女優の質があがっていたというのが一因だろう。
当時の雑誌では代々木さんと村西さんの対談をしているしライバルといった関係かな。女優の名でなく監督の名で売れたのは代々木さんだ。


この頃作った代々木さんのAVは、チャネリングとかいうので、女優がトランス状態になり一人で腰を振って勝手に感じているもの。バブル時代のため、こういったスピリチュアルなものもありだったのだろうが、これが一般に受けたのかは大いに疑問だ。実際、評論家は当時これはやらせではないかととても叩いたとコメントしている。代々木さんも、当時はあれがいいと思っていたという程度のことを言っているので失敗作と認めていそう。もっと前には催眠術師を呼んだりしていたので、どうもこういったオカルトっぽい路線が彼は好きだったようである。


92年に村西さんは衛星放送事業で多額の借金を背負ったが、同時期に代々木さんもサイパンミクロネシア文化を紹介する施設を作ろうとして失敗。
その後は村西さんは自分で男優も兼ねてハメ撮りを行う。代々木さんも触発されハメ撮りアングルを導入するなんて感じだったのだが、ここでは実際のAVの映像が使われてないので、その時代の代々木産のAVがどんなものかは不明だ。


AV女優としては90年代の飯島愛が革命を起こした。彼女がテレビのバラエティ番組で他の芸能人と同格の活動をしたために、AVの垣根が下がり多くの女性ががAV入りしやすくなった。そのため質が悪い女性も多く入ってきたが、規格物というジャンルが潤沢となる契機になった。


この時代では代々木さんは女優に対するインタビューを一対一で行ったり、南智子という女優が男を責めるAVで、これまたヒット。このあたりは彼が著作で述べていたエゴの開放ということだろう。男が女にされるのはみっともないという先入観を解き放つというものだ。この映像中では、このシリーズがヒットしたとあるが、どの程度売れたんでしょうかね。


94年からは雑誌広告でフランチャイズを募集していたビデオ安売王がAV業界を大きく変えた。ビデオ安売王はビデ倫の審査を受けないAVの製作を新興のメーカーに依頼。代表がソフトオンデマンド。他、インディーメーカーがたくさん生まれた。女優の美貌というより過激さが売り。肛門とヘアが見える。
代々木さんは薄消し路線に否定的のようだ。ただ、この頃自分の撮った面接官シリーズは、レイプ物っぽい雰囲気があり、やっぱり過激路線の影響を受けているように思う。


番組のまとめでは、最近のAVは直接的な描写が求められていることを関係者が証言する。男優は、顔と結合部が両方写っているアングルをするよう言われているといい、高橋がなりは店舗からモザイクを小さくするよう言われていると言い、想像ではなく直接的な視覚的なものに時代は変わっている。


つまりは代々木忠も時代遅れというわけだ。そのせいか、一時彼は鬱病になっていたようである。それでも今でも月に一本新作を撮っている。
最後になぜか笑福亭鶴瓶が登場。いろいろ見たけれどやっぱりヨヨチュウの作品が一番性に合うということだ。