平成経済20年史

平成経済20年史 (幻冬舎新書 こ 9-1)
もう平成も20年が過ぎている。まとめて振り返るにはちょうどいい区切りなのだろう。


著者は元証券会社勤務の経済アナリスト。以前は国民新党でも副代表をしていたそうだが、私は初めて名前を知った。国民新党というと亀井静香の他には、三木のり平みたいな鼻の代表くらいしか思い浮かばない。本書に載っている著者の経歴には国民新党のことが書かれていないので、それから仲たがいでもしたのだろうか。
他にもワイドショーなどでコメンテーターとして呼ばれることもあるようなので結構有名な人のようだ。国民新党といえばアンチ民営化、アンチ規制緩和というわけで、当然彼女も小泉嫌いなわけである。


そんな彼女の書いた平成経済史は、ちょっと独断的な記述が多すぎ客観性に欠ける。あまり文もうまくないように思う。ところどころ用いられる比喩表現が大げさすぎて説得力がない。
彼女の主張を一言で表してみた。
バブル崩壊→日銀が急激な利上げをしたせいでバブルははじけた。大蔵省の総量規制も拍車をかけた。だからソフトランディングできなかった。
住専問題→不良債権住専に押し付けた銀行は悪。農協に連帯責任をとらせた大蔵省も論外。
長銀売却→外資に格安で売るなど論外。外資を儲けさせただけ。
・年金→実は黒字。
・りそな→竹中平蔵さんは大銀行でもつぶすと言って不安をあおりながら、結局公的資金注入。論外。
・優勢民営化→論外。預金が特殊法人へ流れているのが問題ならば、それを止めさせれば良い。


この20年をまとめると、とにかく大蔵省(現財務省)が間違ったことばかりしたというわけで、国が外資の言いなりになっているという主張は森永卓郎と通じる部分がある。
住専問題などは私は良く覚えていなかったので再確認できたのは良かったが、新書にしては分厚い本なので、これなら個別の問題についてそれぞれ何冊かの本を読んだほうが良さそうだ。