<大相撲夏場所日馬富士 勝敗決めた「半歩の差」
2009年5月17日(日) 20時43分 毎日新聞

 ◇大相撲夏場所8日目(17日・東京・両国国技館

 惜敗した千代大海に言わせると、日馬富士の攻めが「半歩速かった」。その差が「最後の大きな一歩になった」と表現した。大関3場所目で「安馬」時代の元気の良さが戻ってきた日馬富士が、初の全勝ターンで無敵の白鵬と並走する。

 立ち合いは中途半端に右へ動き、またぞろ、先場所までの「日馬富士」の顔がのぞいた。8連勝中と合口は良いが、カド番で死に物狂いの相撲が続く千代大海を相手に迷いが生じたか。「考え過ぎて、集中できなかった」と認める。

 ただ、三保ケ関審判長(元大関・増位山)は「15日間には、そういうこともある。その後の相撲には、前に出ようという気持ちが感じられた」と評価。日馬富士自身も「足は出た」との実感はあった。

 当たり負けはしたが、突っ張り合いを「半歩の差」で制すると、潜り込んで左下手を引いた。土俵際で千代大海が捨て身の小手投げを打つも、一気に前に出た分、日馬富士の寄りが勝った形だ。

 武蔵川理事長は「両横綱に割って入ってほしいね」と、優勝争いの目玉として期待する。1敗で追走しながらも衰えの隠せぬ朝青龍は、この日も目先の白星を欲しがる相撲。世代交代のチャンスであることは、大関も十分に自覚している。

 「今日はたまたま勝った。自分の立ち合いをしないと」との反省の言葉は、初の賜杯を見据えての決意表明だろう。【堤浩一郎】