夢のある部屋

夢のある部屋 (河出文庫)
澁澤龍彦のエッセイ。最近、この人の名前を目にすることがほとんどないような気がする。死んでからずいぶん時間が経っているから当然といえば当然なのだが、薀蓄エッセイの価値が急落しているのかもしれない。wikipediaを見れば何でも書いてあるのだから。しかし、古今東西の太古の昔から今の自分の身の回りまで縦横無尽に薀蓄を傾ける楽しみというのは味わい深い。澁澤のエッセイは単なる薀蓄の羅列に近いと言っていいのに、それ以上のものを感じる。やはり芸というものなのだろう。