若者を見殺しにする国

若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か
著者は1975年生まれのフリーター赤木智弘氏(以後アカギ君と呼ぶ)。
他の世代の人間はたいして努力もせずに正社員として就職できたのに、自分の世代は割りを食ってるというのが主張。
昔は、若者が好んでフリーターになり、世間がそれを止めた。今は社会がフリーターを要求し、若者がフリーターから抜けようと思っている。世の中の変化は速い。
フリーターだと結婚もできず将来希望がない、だから戦争を望むってアカギ君は言うけど、もともとフリーターになる人は結婚願望なんてあるとは思えないし、フリーターにだって長所はあるはずである。そうでなければ、30過ぎまでフリーターをやっていたりはしないだろう。
じゃあ、何故アカギ君が、こんな主張を始めたのか。ここ数年フリーターにとって想定外のできごとがおきたのだ。ひとつは労働条件が過酷になったこと。ここまで露骨に、ネットカフェ難民のような飢え死に寸前の人たちに対して、いわゆる足元をみた労働条件を提示してくる時代がくるとはさすがに思わなかった。
もうひとつは、フリーターに対する世間の目が変わったこと。フリーターを好意的にみれば、企業社会から背を向けた金銭欲のない自由人という評価もできる。フリーターの人たちも、おそらく、そんな風に評価されることが理想だったはずだ。そこまではいかなくても、つい一昔まで、フリーターは世間の豊かさにぶらさがった、ちょっと迷惑な存在くらいに思われていた。
ところが、今はフリーターは世間から「低賃金で使い捨てにされる、会社にとって都合の良い存在」と思われるようになってしまった。そして、フリーター自身も、そう思うようになってしまった。これは、フリーターになろうと思うような、自由人にとっては我慢のならないレッテルなのではなかろうか。
まったくもって、社会というやつは、我々ダメ人間が一番嫌がることを知っている。ちなみに戦争を望んでいるのはフリーターだけではない。山田太一の本に書いてあった。日本の会社員の何割かは、天変地異がくることを望んでいますと。
日本の将来はもうダメですね。