文學ト云フ事

文学作品をたくさん読んできたわけじゃない。主に大学時代には何冊か読んだことがある。そして今振り返る、私の人生に影響を与えた文学作品は?
これが映画だったら話は早い。僕が映画を見始めたのは本を読むよりのよりも、もっと遅い。大学以前はビデオを借りてみることさえほとんどしなかった。それでもタイトルはすらすらとあげることができる。
・エル・スール
サイドウェイ
・運動靴と赤い金魚
ガタカ
ブロークバック・マウンテン
甘い生活
などなど。これらの映画、コメディーからSF、主人公がおっさんから少女と色々なのだが共通した問いかけに答えているように思う。その問いかけというのは生きにくい世の中をどう生きるかという問いだ。アクションやホラー、恋愛でも戦争でも出来がよければもちろん面白いとは思うだろうけれど、そこの部分を描いてくれないと僕の心には残らないものになってしまう。
考えてみれば、僕が文学作品に求めているものに映画が答えてくれたと言うことになるのかもしれない。例えば、雪国や伊豆の踊り子を読んだけれど、生きにくい世の中をどう生きるかという点からいえば特に感じるものはなかった。もっともだいぶ昔読んだので内容はよく覚えていないのだが。
文学にも色々あるし、読み方だって色々だ。名作といわれるものを読んでも感動しない僕の感受性が劣っているともいえるのだが、他の人はどういった部分を読みとっているのだろう。それがどうも気になってしまう。
他の人のホームページを読んだ。その人は文学作品は大衆小説とは区別されるべきと感じるという。その人を非難するつもりではないので勝手にリンクしてしまうが
http://d.hatena.ne.jp/rotewand/20070517
高野聖という小説に対して、描写がうまいと言う部分に感銘を受けている。
これは、芸術性を感じるという読み方なんだろう。落語家の名人の語りや絵画や音楽のような文字通りのいわゆる芸(藝という字のほうがふさわしいのか)というやつだ。でも、僕は単に完成度の高い芸術作品に触れたいということだったら、わざわざ文学を選ばない。読むのに時間がかかるし、疲れるからね。単に芸術度の点で言えば例えば貴乃花の寄り切りだって芸術だと思うし、文学よりもそっちを見てたほうが楽しい。
生きにくい世の中をどう生きるか、それだけを求める僕には文学を楽しむ資格はないのだろうか。これから、ごくたまに文学を読みながら考えたいと思う。いつか人生に影響を与えたと思える文学に出会いたいものだ。