羽生善治のこった日記2021 第80期順位戦A級4回戦 対佐藤天彦九段戦

A級順位戦は4回戦が進行中である。

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ところでA級はトップクラスなわけだが、昔将棋の雑誌で読んだところによると、実はA1とA2に分かれるのだそうだ。もっともこれは制度上ではなく、周りの棋士の評価だそうだ。

つまりはA級棋士10人いても、名人挑戦にからむことはあっても降級の心配はないであろう上位の人と、名人挑戦の芽はほとんどなく降級争いをするであろう下位の人に分かれるのだそうだ。こんなトップクラスの人でも強い弱いと判定されてしまうのだから勝負の世界は大変である。

 

そしてA2と評価されていたであろう山ちゃんは、ここまで全敗になってしまった。負け方も酷かった。佐藤会長戦は初級者みたいな見落としで、これだとよりいっそう他の棋士は取りこぼさないという気持ちで来るだろう。山ちゃんは1勝できるかどうかというような状況だ。

 

そして羽生さんもA2と評価されるようになってしまっているのかもしれない。4回戦の相手は佐藤天彦さん。羽生さんが名人をとられた相手だ。2年後逆に羽生さんが挑戦者になったときも勝てなかった。A級はいつのまにやら羽生さんがタイトル戦で負けた相手ばかりになってしまっている。

 

ちなみに同じベテランの佐藤会長は、会長を務めながら何故か好調で、またタイトル挑戦の一歩前まできている。

ただ、羽生さんも王将リーグは勝ってるし、モデルチェンジしようとしてるのだろうかね。

 

さあ、とにかく4回戦だ。藤井聡太さんがやっぱりA級にあがってきそうな勢いなので、羽生さんなんとしても残留してほしいものだ。

 

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羽生さんの先手で横歩取り。後手の3三角戦法に対して先手は青野流をとった。横歩取りではもっとも指されている形かな。

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お互いに角を敵陣に打ち込みあう。このあたりは研究範囲だろう。

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先手の攻めは無理だったようで後手に6二歩と受けられて苦しいようだ。

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先手も挟撃の形を作るがちょっと駒が足りない感がある。

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苦しいときでも羽生マジックで数々の逆転劇を見せてきた羽生さん。ただ、最近の強い棋士は間違えない。しっかりと踏み込めるときは踏み込んでくる。

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投了図。羽生さん、これで1勝3敗。前期の順位が悪いので、かなり苦しいことになった。