将棋ファンでも嬉野流という名前を聞いたことがない人はいるだろう。
私もそうだった。プロでは全然指されてない作戦だから。
私が知ったのは将棋ウォーズで相手に指されたときである。将棋ウォーズでは戦法や囲いを採用したときに専用のエフェクトが出る。この嬉野流もエフェクトがあるのでアマチュア間では認知されている作戦のようだ。
そして、実際、私も苦しめられたのである。角道を開けずに銀と飛車で攻めてくる。いかにもアマチュアといった筋に負けるのは納得がいかなかった。
この本の著者が、創始者の嬉野さん。アマチュアの大会に出て上位入賞はするものの、全国大会制覇するほどの棋力ではないようだ。
それなのにこの戦法がアマチュア間で認知されるようになったのは、嬉野さんがアマチュアの大会で対局した元奨励会三段の天野貴元さんが使用し本まで書いたことである。
天野さんは舌癌で若くして亡くなられてしまった。しかし、アマチュアで将棋の本まで書くようになったのはプロが使わない嬉野流に出会ったことで、これも縁である。