宮本広志 棋士番号296
タイトル挑戦なし 順位戦最高位C級1組
将棋のプロ制度とは厳しいものだ。
四段からがプロで対局料がもらえる。プロになりさせすれば、3年間全部負けても、C級2組からフリークラスにいくだけで、プロのままだ。そこから10年はプロのままである。つまり1度プロになりさえすれば13年は負けまくっても対局料がもらえる身分なのだ。
それだけに3段から4段になれるかどうかは、地獄か天国かの違いである。
さらに3段には年齢制限がある。26歳までに4段にならないと強制退会である。ただ、勝ち越していれば、29歳の誕生日まで延命できる。
4段になるには半年ごとのリーグ戦の上位2位以内に入るのが条件だ。(もしくは3位を2回取る)
宮本さん、途中で26歳の誕生日を迎えたリーグでは、最終日を3番手で迎える。しかし、連敗を喫し11勝7敗の8位で終わる。
次のリーグでは、連勝すれば自力で四段昇段が可能な状態で最終日を迎えたが最終局で敗れ、成績が4位となる。
途中で27歳になったリーグ戦。11勝5敗の途中成績で迎えた最終日は、自身が連勝するか、自身が1勝1敗でも同じ途中成績の他の3名が連勝しなければ昇段できる極めて有利な状況で迎えた。しかし再び最終局で敗れ、また同星の竹内雄悟が連勝したため今回も2位以内に入れず。3位で次点獲得。
次のリーグは途中で7勝8敗となり、残り3局を全勝できないと退会という窮地に立つ。追い込まれた宮本であったが、残り3局を連勝、最終成績を10勝8敗と勝ち越し、翌第54回への参加権を辛くも確保した。
ここまでみると、これはもう勝ち越すのが精いっぱいでプロはとても無理だと思うだろう。しかし、奇跡は起こるのだ。
勝ち越し延長を続けること4回、28歳となる第54回では、三たび連勝すれば自力で昇段が可能な状態で最終日を迎える。宮本は初めてこの状況で連勝、遂に四段昇段を決めた。28歳での四段昇段は、三段リーグを経由したものに限定すれば、勝ち越し延長の規定が発足した1994年以降の最高齢記録であった。
よかった。本当によかった。
もちろん、彼のプロ入りの影でプロになれなかった人がいる。これも勝負の世界だろう。
やっぱり宮本さんにはおめでとうと言いたい。
本を3冊かったけど、どれもコラムがあった。いまいち面白みはなかったけど、コラムがあってよかった。