平安時代初期に作られた日本最古の物語。
拾った赤子が急成長、その女性は、実は月で罪をおかしたため地球に遣わされたというSF的設定はユニークで先進的である。
ラストで、かぐや姫を守ろうとした配置されていた大勢の兵の前に、満月の十倍、毛穴までも見えるほどの光とともに天人が現れる。それを見ると兵は戦う気をなくしてしまうという、その描写力は映像的な想像力をも刺激する。
読み返してみると物語の前半部分に、爺さんから婚姻を勧められたかぐや姫が「なぜ結婚をしなくてはいけないの」と問い返すなど、作者が社会制度を俯瞰的にみていることに気づく。
求婚した5人の男性に女性が課題を与える。男性が選ぶのではなく男性が選ばれるということは当時はどの程度あったのだろうか。どちらにしても、物語で男性が選ばれるという構図を出したのは、とても千年以上前のものとは思えないなあ。
そんなことから私は、作者は女性かと思っていたのだが、研究では男性の貴族というのが有力だそうだ。
ちょっとひっかかったのは、5人の求婚者のなかではもっとも善良な人間として書かれている中納言だけが死んでしまうということ。作者の意図を考えて読むのも楽しいものだ。