棋士という生き方

棋士という生き方 (イースト新書Q)

棋士番号97

A級4期。タイトル挑戦なし。

 

石田和雄さんというと、NHK杯での名解説でおなじみだ。あの独特の口調が味わい深い。

棋士としても、タイトル獲得こそないもののA級棋士である。今では現役引退をして千葉県柏市で将棋センターを経営している。ユーチューブなどの配信もしている。

 

本のタイトルだとプロ棋士の制度等について語っているかのように思えるが、石田和雄さんの自伝的な本であり、そこに制度をからめて説明しているという本だ。

 

石田さんは愛知県岡崎市生まれ。父親は学校にある二宮金次郎像を売り出す石屋であった。しかし、不発弾処理で怪我をしたため石屋を続けることができず、そのため石田さんの子供時代は貧しいものだった。

地元の将棋道場に通っているうちに敵なしになった石田さんは奨励会に入会。師匠は通っていた名古屋の道場をやっていた板谷四郎九段である。高校に入学するも1年で退学し、将棋にうちこむ。

当時の4段の制度は、東西それぞれの三段リーグの優勝者が戦って勝ったほうがあがれるという厳しいものだったが、石田さんの場合、関西の優勝者の勝浦修さんが前期も優勝のため、決定戦無しで昇段。石田さんもそれにあずかり同時に昇段するというものだった。

 

プロ入り後、しばらくして阿佐ヶ谷へ。

その後柏で将棋教室をおこなう。道場経営はたいへんで、棋士としての成績もさがってしまったが、今では多数の弟子がプロ入りして活躍している。