儒教とは何か

儒教とは何か 増補版 (中公新書)

 日本では、人が死ぬと多くの人が仏式で葬式をする。その一方で死体に手を合わせて拝むものの式場にある本尊には目もくれない。これは実は相反する行為である。仏教では死者の肉体は単なる物体である。死者の体を大事にするのは儒教の教えなのだ。

 

というわけで、儒教は宗教なんだよというのが著者の主張である。著者の宗教の定義は「死ならびに死後の説明者である」である。儒教は死を説明、意外な見方ですね。

 

儒教の源流はシャーマン、死者をこちらに呼び戻すとかそういう祭礼が源流。そこに孔子が現れた。実は「論語」でも死との関わりについて語られている部分は多い。

孔子は、まず共同体の道徳を最重要視して、その中に人が作った法律が含まれるとした。法家は逆に、法律を最上のものとし、その中に共同体の道徳があるとした。

 

秦の時代には焚書坑儒にあった儒家は漢の時代以降は、政権にも受け入れられるよう儒学の研究をし孔子の教えを都合のあるいみ都合のいいように解釈した。例えば孝の概念は、政権よりも身内が大事というふうにとられると政権には危険思想だが、卿や大夫は君主に従うことにより祖先を敬い続けることができる、といった具合に。