アガメムノン

著者:アイスキュロス
発表年:紀元前458年
アガメムノーン (岩波文庫)
古代ギリシア三大悲劇詩人のひとり。亀が頭にあたって死んだというお茶目なエピソードがある。創作だと思っていたが、ギリシアには亀をくわえて空から落として中の身を食べるという鳥がいるそうだ。でも、ギリシアで旅行客が死んだというニュースは聞かないので、死んだというのは創作のような気もするがどうだろう。


さて、こちらはオレステイア三部作というもので戯曲である。つまりはお芝居の台本ということである。ギリシアで行われた芝居は、もともとは集団で歌っていたものらしい。そこから一人が演じるようになったもので、それをやったのがこの方アイスキュロスさんである。
ちなみに彼は武闘派だったらしく、ペルシア戦争に行ったことを誇りに思っていることが墓碑に書かれている。


で、こちらのアガメムノンは、トロイ戦争の後日譚である。古代ギリシアの芝居は、一般に知れ渡っている神話や民間伝承をモデルにしているようである。


話の中身のほうは、復讐である。戦争に行く前に娘をいけにえとした夫を、妻と愛人が共謀して殺害すると言うもの。さらに三部作の二作目では、この妻と愛人が息子に殺されるわけで、憎しみの連鎖というやつですね。
技巧的なことをいえば、ギリシアの芝居は殺人のシーンは演じないそうで、暗に殺人をにおわせるような演技と演出を行うということのようである。


現代でもこういった事件はある。愛人がいるから殺人を犯すのか、殺人をするために愛人を必要としたのか、どっちが先か。あるいはどちらが先ということもないのかもしれない。