狂った果実

監督:中平康
出演:石原裕次郎北原三枝津川雅彦
公開:1956年
狂った果実 [DVD]
石原慎太郎の原作で裕次郎の初主演映画。この映画をきっかけに裕次郎の人気があがっていく。


トリュフォーがほめたとかなんとか言われているが、確かにだいぶ異質の映画で、ストーリーや音楽などヨーロッパ映画のようなけだるい雰囲気である。1956年公開ということを考えると、むしろこちらからヨーロッパの映画に影響を与えるような部分もあっただろうか。このあたりの前後の影響はよくわからん。


舞台は逗子や鎌倉。別荘に住み外車を乗り回し酒を飲んで女と遊ぶのは兄の裕次郎とその仲間たち。弟の津川雅彦はまじめで遊びを知らない様子。海で知り合った女性と弟は恋仲になるが、なかなか体の関係まではなかなか進まない。
ところが兄が仲間とクラブに遊びに行くと、その女性が外人男といるのである。聞けば、女はその男と結婚しており、しかもこれまで浮気を何度かしているのだ。裕次郎は、このことを弟にはいわないからかわりにやらせろといって無理やりやってしまう。


さて、兄弟で一人の女を取り合うといった構図はありふれているが、女の存在をどうとらえるか。これがこの作品のポイントだろう。年齢は20歳。しかし、当時珍しい外人男と結婚し男はかなり年齢が高く軍か貿易かの仕事をしているようだ。そのうえ、別の男と浮気を数度している。裕次郎と体の関係をもったあとも、はじめて好きになったのは弟の津川のほうと言いきる。
いやー、太陽族と名づけられた遊んでる男も当時新鮮だったろうが、こういった女性像というのも珍しかったんだろうね。でも、体を許しながら弟のほうが好きだと言う女に兄(裕次郎)が執着すると言うのがわからん。やれれば、それでいいと考えるのが男の考えのようにも思えるが。