月館の殺人

原作・綾辻行人
作画・佐々木倫子
月館の殺人 上 IKKI COMICS
原作も作画もとても有名な人。でも、これで面白いものになるのかと皆疑問に思ったことでしょう。


読んだところ、つまらなくはないが個々人単体の持ち味が発揮されたものとは言いにくいものができあがってしまったといのが感想である。


ミステリとしては、一応本格ものになりますかね。でも綾辻さんの小説の醍醐味である、大掛かりな仕掛けが一気にオチで崩壊するという、あの興奮は味わえなかった。ビジュアルで表現するにはつらかったようである。
佐々木さんの特徴であるキャラ同士の掛け合いとかも、ネタが鉄オタという彼女が知らない世界を描いているせいか、どうも切れ味を欠く。


同じミステリでも彼女が絵を描くなら日常形の北村薫とかのほうがよかったのではないか。あるいはハードボイルドでもよいのかもしれない。
幻想的な非人間的な雰囲気を出すんだったら他にもっといい漫画家がいそうなものだ。そういったものでは不満。
ただ、両者とも自力はあるので、まあ普通に読めるものにはなっている。