愛すべき娘たち

愛すべき娘たち (Jets comics)
短編集。登場人物は共通だが主役は各話ごとに異なる。そして主役の彼女達は30歳前後だ。それなのにタイトルは愛すべき娘たちというわけで、女性にとっては母親との関係とは、いつまでたっても影響が大きいのだ。


恋愛も大きな要素になっているのだが、全体的に暗い。熱をあげるような恋愛ではないのである。そこがリアル。キャリアを持っている女性が30歳前後で結婚していく過程というのは、彼女達にとっては結婚は必然ではないだけに、なかなかに面白い。逆に、経済的な自立ができなかった女性は依存的に結婚をすることになる。もっとも、それで結婚後は不幸になるとも限らないだろう。


何年か前には、大学生くらいの世代では女性のほうが元気だと、たびたび言われてきた。実際そうだと思う。だが、今は、大学生の世代は知らないけれど、30過ぎの世代は男のほうも、そうとう元気なのではないのだろうか。すくなくとも私は20代後半から今にかけて、女性との関わりについては、ぐっと楽になった。それは、自分の商品価値が女性と比べ相対的にあがったということと、実は選択肢が広がったということなのだろう。たしかに、男は働かなくてはならない。そこはつらいところだが、仕事が安定しさえすれば後は自由だ。金も昔よりある。金やステイタス抜きの魅力だって、ないわけじゃない。


この漫画の女性たちは、仕事も恋も、けっして明るくも楽しくもないが進歩を続けている。しかし、現実の女性は恋も仕事も何にもない、実家住みでアルバイトしながら歳を重ねてる人も多いことだろう。そんな彼女達が40代になったらどうなるか。ひょっとしたら、これからどんどん男が元気になっていく世の中になってるかもしれない。