グラグラな社会とグラグラな僕のまんが道

グラグラな社会とグラグラな僕のまんが道
福満さん初のエッセイ本。
他に、雑誌に連載されていた4コマ漫画と映画レビューと音楽についてのコラム漫画みたいなのが載ってる。


福満さんの悶々とした10代は漫画で知っていたが、こうして活字になっても面白い。なかなか文才もあるのではないか。加えて76年生まれのいわゆる氷河期世代が90年代を振り返るという点でも興味深い。と思ったらこれはインタビューを書き起こしたものなようで多少編集者が書き加えているのだろう。
90年代は不景気と言われつつも、みんながそこそこ楽しくすごしていて、色々な部分に核というか中心的な価値観があった。しかし、ここのところ全てが不安定になっているという考えで、それが本のタイトルにもなっている。
まあ、当時の世相についてはほとんど私の見方と違わないのだが、彼が14歳の頃には周りは全員セックスしてたというのはどうも疑わしい。あるいは東京都小平市あたりは性の無法地帯だったのかもしれない。
編集者や昔からの知人について、けっこう毒のあることを書いている。ダメ人間はおとなしい顔の下に攻撃性をもっている。けっして甘く見てはいけない。
今後も小規模に追跡を続けたい作家だ。