ゲゲゲの女房

ゲゲゲの女房
水木しげるの奥さんが書いた自伝本。


二人が結婚したのは水木しげるさんが39歳、奥さんが29歳のとき。当時としてはかなり晩婚だろう。見合いから5日後に結婚式をあげている。
水木さんの結婚が遅れたのは、全然収入がなかったことに加えて戦争で片腕をなくしていたこともあるだろう。でも、水木さんが何回目のお見合いだったとかは、奥さんが書いた本だからわからない。


水木さん本人が妖怪みたいな人というイメージがあるので、代わりに奥さんのほうがしっかりものではないかと思っていたら、どうやらそうでもないらしい。
結婚してからしばらくの間は、水木さんの仕事が安定せず極貧時代をすごすのだが、そのときでも奥さんが働きに出たことは一度もなかったということである。もちろん幼子がいたことや時代背景はあるだろうが、それでも働く気になれば働き口はあったはずで、奥さん自身が自分のことを「大変な状況は数限りなくあったのに、私はこれを何とかしようとか、新しいことをやって道を切り開こうなどと、自ら行動することはしませんでした」と分析している。ひたすら夫についていくというタイプの人だったようだ。年齢の差があることもあって、こういう形が案外うまくいくのかもしれない。


それなら、奥さんが楽に生きてこれたかというとそんなことはなく、副題に「終わりよければすべてよし」とあるが、これは奥さんの言葉。逆に言えば、途中までは苦労が多かったということだ。結婚直後の極貧時代もさることながら、水木さんは親兄弟をとにかく大事にするひとのようで、自分のプロダクションの社員とかにもしてあげてる。特に水木さんの母親は写真で見ても怖そうな人。こういった部分がいきすぎて、妻や子供が後回しにされていると奥さんは感じていたようだ。奥さんは、もちろん抑え目に書いてはいるのだが、それでもやっぱり苦労が多かったというのがつたわってくる。それでもなんでも、夫婦そろって今は幸せということでよかった。