ハンバーガーの教訓―消費者の欲求を考える意味

ハンバーガーの教訓―消費者の欲求を考える意味 (角川oneテーマ21)
マクドナルドの社長が書いた本。この人の前職はアップルコンピュータで、マックからマックに転職というので話題になった。


ハンバーガーの最安値は2002年で59円。このころはハンバーガーだけではなく牛丼なども低価格競争をしていたはずだ。しかし、それらの店は、その後軒並み低迷する。
低価格競争によってデフレがさらに進行するという悪循環になっていた。
当時の経済評論家とかテレビの言い分では、これからの商売では高付加価値をつけることが必要で、単なる安売りは競争が進むから行き詰るという感じだったはずだ。


そんな背景から外部から経営者が招かれたわけであるが、なんでアップル社の人が招かれたのかはよくわからない。


そして、ここ数年ではマクドナルドはだいぶ持ち直している。その理由が知りたくて、この本を読んでみたのだが、すっきりはっきりとしたものはわからなかった。もちろん企業秘密の部分が大きいのだろう。
「品質・接客・清潔」という基本を再徹底させたこと、キッチンを改良して待ち時間を少なくしたというくらいか。でも、それだけで売り上げが伸びたりするのだろうか。
私が店にいっても、ここ数年で特になにか変わったという気もしないので、不思議である。
ちなみに私はマクドナルドの株主だ。


あとは社長の仕事に対する考え方とかビジネス書によくある話。
唯一面白かった部分は客に迎合せず、マクドナルドらしさを失わないようにするという戦略。たとえばヘルシー志向に逆行するメガマック。他に、マックグリドルという甘いバーガーがあったらしい。それは私は食べる前になくなってしまったのだが、それは本場アメリカの味を提供することに意味があり日本人向けに味を変えてはいけないという考えだったらしい。ということは、美味くないとわかっている商品を出しているわけであり、企業のブランドイメージを植えつけるためには、一般受けしない、それどころかおいしくないとわかっている商品を販売することがあるということは面白い。


豆知識
・外食産業市場でマクドナルドの売り上げシェアは6パーセント
マクドナルドの利用者1年14億人