ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)
著書は早稲田大探検部の人で、青春時代を大学そばの三畳間で過ごした。そのアパート野々村荘のおばちゃんや住人や探検部員との愉快な交遊録がこれ。実のところ、前半部分は良くある貧乏話の類なのであまり面白いとは思えなかった。
僕にとって面白かったのは後半部分。大学を卒業し30過ぎても定職についていない著者は三畳間に住み続ける。そのアパートに社会人となった学生時代の友人が訪ねてくるのだが、そのやりとりや著者の感想は、僕も一応こっち側(まともな社会人)の人間なのだが、非情に良く分かる気がする。貧乏生活をしている若者にも青春時代の終わりはやってくるのだ。住人のケンゾウさん(野々村荘に20年以上住み続けた司法浪人)は今なにしてるんだろう。