ブルーバレンタイン

ブルーバレンタイン [DVD]
2010年アメリカ映画。
レンタルビデオ店ではラブストーリーの棚においてあるが、カップルで見るような映画ではない。


冒頭で父、母、娘の幸せそうな一家の生活が映される。しかし、しばらくすると父母は不仲であることがわかる。
シーンが切り替わって、数年前の話になる。なぜ数年前になったか分かるかというと男の頭髪の量が違うからだ。嫌な演出である。
こちらは二人の出会いからの話が続く。


現在の破局間近の夫婦の姿と、過去の幸福な時の恋人。現在と過去のシーンを交互に映す手法は、それほど珍しくないかもしれないが、そこに描かれるのはつらい現実である。しかもそれは自分の行動の結果という点において救いがない。


破局間近となった夫婦にそれぞれ問題はあるのだろうが、それよりも私は若いころの二人があまりにも無計画に思えた。もっと言えばバカなのである。もちろん、それが若さというものなのだが。しかし、若さがあれば許されたこと、ごまかせたことが、歳をとれば残酷なまでに自分にのしかかってくる。その現実をつきつけたという点が、この映画の新しいところだ。


言うまでもなく現在と過去はつながっている。男は母親の愛を知らずに育った。自分では娘や妻のためと思ってはいたものの、愛を満たす家庭を求めていたのは他ならぬ自分だった。
男は言う。「俺は家族のために闘ってるだけだ」
しかし、何かのためにという言葉ほど危ういものはない。


加藤諦三さんならこう言うだろう。
親から愛情をえられなかった人ほど理想の家庭に固執します。しかし、それは依存です。