作者:藤原道綱母
成立:天延2年(974年)前後
当時の貴族は通い婚というのをしていたわけだが、ほかに女ができれば前の女には通わなくなることもある。
女性の立場からの日記というのは貴重だ。
作者は和歌の才能には恵まれたが、それでは男をつなぎ留められない。当時は、ほかに男を探すこともできず尼になるしかなかった。それが悲劇だったのだろう。
面白さでみると、序盤がハイライトだ。男が他の女のところにいってしまうが、実は自分も他の女から男を奪った立場である。
中盤の紀行文は少々あじけない。そして失意のまま晩年を迎える終盤。しかしこれが人生なんだな。