遺言――最後の食卓

 

遺言――最後の食卓

林葉さんが2014年に出した本。腹水がたまる重度の肝硬変になっており、それで本のタイトルを遺言としているが、2021年8月現在林葉さんは生きている。

 

この本は、雑多なエッセイ集といったもので、過去の思い出や病気をもった今の生き方、それから家族とのことが書かれている。

 

林葉さんが15歳の時に書いた前の本では家族仲が良好のように書いていたが、実はそうではなかったようだ。林葉父はけっこう問題がある人だったようである。林葉母へのDVがあったり、林葉さんの賞金も使い込んでしまったりしたとのことだ。

林葉さんはカレー屋開業の失敗もあって自己破産している。

 

名前は出していないが、中原名人との思い出もちょっとだけつづられている。「あの人」とあるのがそうだろう。二人で外食することはほとんどなかったそうだが、一度だけ、四谷の焼肉屋に行ったそうだ。

 

そしてもうひとつのエピソードはちょっと重い。林葉さんが中絶したときに、あの人は赤いバラを渡してありがとうと言ってきたのだそうだ。しかも、その後も避妊する様子はなかった。

そんなことをやっておいて、別れられそうになると留守電に「突撃しま~す」だ。

名人の将棋の実績は文句なくあの時代のトップだった。そして、人格的にも優れているといいたいが、この部分だけは、米長さんと同じくらい問題がある。

 

それにしても林葉さんは、その後に選んだ男もそういう気質がある人だったようで、どこかそういう立場になることを自ら選んでいるようにもみえる。

 

ところで米長さんは林葉さんに何もしてないのだろうか。林葉さんは何も書いてないのだから何もなかったのだろうが、どうも気になるところである。