タイトル挑戦なし 順位戦最高位C級1組
通称あべけん。
本のタイトルはなかなかにユニークだ。
発行されたのは2012年だが、そのころは角道を止めるいわゆるノーマル四間飛車が減り
角交換四間飛車が使われていた。その理由はなんなのかというもの。
もちろん四間飛車が勝てなくなったわけで、本の大半は普通に定跡を解説してあるわけなのだが、冒頭にあるデータが興味深い。
四間飛車の対局数の推移と、四間飛車に対する居飛車の戦型別勝率のデータがのっている。
居飛車穴熊の勝率が高いのは予想通り。なかでも4枚で固める松尾流穴熊はさらに勝率が高くなる。逆に、5筋位取りや玉頭位取りといった昔使われていた戦法が少ないものの今でも指されていて、勝率が良くない。こうしてデータで見ると面白いものだ。
あと、居飛車対四間飛車の戦績は、先手後手ともに居飛車のほうが勝ち越している。たただ、居飛車先手四間飛車後手の居飛車の勝率は逆の時より高い。居飛車対振り飛車は先後の差はあまりないと思っていたが、勝率ははっきり違っていて先手のほうがいいわけである。
それなのに、穴熊や松尾流穴熊に限ると、居飛車後手のほうが先手のときより勝率が高いのだ。
そうなると居飛車は先手のときは急戦、後手の時は穴熊と選択もできて、このデータをみるだけでも四間飛車が減った理由がわかるというものである。