タイトル獲得通算3期 順位戦最高位A級
将棋に対するストイックな姿勢から「軍曹」と呼ばれる。
バナナ好きでタイトル戦では大量にバナナをストックしている。
千日手の率が非常に高い。
勝つ手よりも負けない手を選ぶ棋風は根絶やし流と呼ばれる。
などネタが非常に多い棋士だ。
この本は2冊目。前作は『永瀬流負けない将棋』というタイトルで、本の構成は同じ。すべて実戦譜だが、最初から最後まで棋譜をのせるのではなく、急所のポイントにしぼって解説。その分収録している棋譜は多い。
構成を担当したのはアマチュア強豪の美馬さんという方で、棋譜解説はインタビュー形式になっている。それがなかなか読みやすい。
前作を出したのは2012年でプロ入り後から3年後。それで実戦譜をだしてしまう。それも対加藤一二三さんの棋譜を載せてしまうところがすごい。これまで他の若手棋士の本の実戦譜は同年代の棋士ばかりである。一二三さんとの将棋をのせるのは、同年代に近いか、あるいはタイトル獲得者である。
他にもベテラン棋士相手に、恐怖心を残すことが大事といったり、千日手にして相手の時間が少なくなったことを時間をけずると表現したり、ちょっと対戦相手は気を悪くするかもしれない表現がある。
奨励会時代は三間飛車がメイン戦法だったのこと。1冊めを書いた2012年は振り飛車全般を指すようになり、2冊目を書いた2017年にはオールラウンダーに転向していた。居飛車になると千日手はへるとのことだ。その後、2018年に初タイトル獲得。
絶対にプロになれる勉強法も書いてあるので興味がある人は読んでみるといいと思う。
棋士とのエピソードでは同年代の佐々木勇気さんとの話が面白い。永瀬さんは才能でははっきり佐々木さんに劣っているという自覚があったらしい。それが人並外れた努力につながったということだ。
以下、面白いフレーズ。
堅いほうが反動を利用する。
相手の持ち駒を自陣に使わせてから手を戻すのが負けないコツ
ノーマル三間飛車は7五歩の位をとっておくのがポイント。
序盤は積極的に動け
龍は引く手に巧手あり(馬はいつでも自陣に引けるので攻めにつかったほうがよい)
はっきり1手勝があれば攻め合い、なければじわじわいく
ワナを用意して引っかかってくれればよし、引っかからなければ千日手
形勢が良いときは丁寧に、悪いときは辛抱
強くなるには番数を指せ