羽生善治。
タイトル獲得通算99期は歴代1位の大棋士である。
しかし、羽生さんも50歳。タイトル挑戦は難しくなり、A級でもここ2年は負け越している。今期の順位は8位で、これは前期の成績によるものだ。9位と10位はB級1組に落ちるので、羽生さんは前期ギリギリで残留したということになる。
羽生さんもA級から落ちるのかもしれない。大山十五世名人はA級のまま亡くなったが、今の将棋界ではそれは難しいだろう。
そして、今は藤井聡太二冠がB級1組にいる。遠からずA級にあがるだろう。というかこれまでの勢いからすれば、1期抜けで来期にはA級にあがるはずだ。
この前の王位戦挑戦者決定戦の羽生対豊島は豊島勝ちで、おしくも羽生九段対藤井王位のタイトル戦は実現しなかった。
A級順位戦では羽生対藤井がみたいものだ。
そのためには今年羽生さんはなんとしても残留しなくてはいけない。
開幕戦。相手は佐藤康光さんで51歳。A級では最年長で日本将棋連盟の会長も務めている。将棋界を席巻した羽生世代も今A級にいるのは羽生さんと佐藤康光さんの2人になってしまった。佐藤さんは一時B級1組に落ちたことがあるので、ずっとA級にいたのは羽生さんだけということになる。
村山聖さんは亡くなった。森内俊之さんはフリークラスに。藤井猛さんと丸山忠久さん
はB級2組で、先崎学さんはうつ病になったこともありC級1組である。皆、A級に在籍したことがある方だが、今は色々である。
さて、開幕戦。なんとしても白星を取りたいところだ。ましてベテラン同士の戦い。ここで負けるとはやくも降級の心配をしなくてはならないというのは言い過ぎだが。
165局目の対戦で、これまでは羽生の109勝、佐藤55勝。
先手の佐藤九段は金を縦に2枚並べる変則的な玉形。対して後手は自然な駒組。佐藤さんはここ十年ほど意欲的な序盤戦術をみせるが、今回の構想はうまくいかなかったようだ。
このあたりまでは後手がリードを奪っていたようだ。ただ、大きな差ではない。
そこからの佐藤さんの中盤の差し回しは 見事だった。取った銀2枚を打ち付け、盤上を制圧する。
こうなっては、はっきり先手優勢だ。
ここが大きなポイントだったようだ。先手玉には詰めろがかかっている。☗3三歩成☖同玉☗4五桂から後手の馬をはずしておけばはっきりしていた。
実戦は☗8二飛とした。
☖5二角と合駒して攻守がいれかわる。
あっというまに先手の守りは崩壊してしまった。ただ、後手の王様も受けは効かないので、私ではどっちが勝っているかわからない。
先手の王様に詰みがあるので後手勝ちの局面だが、こういうのは実況のAIの判断を見ながらのほうが面白いかもしれない。Abemaの中継があったのだが、私は途中で寝てしまっていた。
ここから羽生さんは見事先手玉を即詰みにして初戦を白星で飾った。
終局は日付変わって0時45分である。
それにしても羽生マジックというかこういう逆転は、佐藤さんとかが相手だと健在だねえ。