平成27年版 将棋年鑑 2015

平成27年版 将棋年鑑 2015

熊坂学 棋士番号244

タイトル挑戦なし 順位戦最高位C級2組

 

プロ棋士に弱いというのは失礼だし、どんなプロだってそのへんのアマチュアよりはよっぽど強いのだ。しかし、弱いといっても許されるし、本人もそう思ってそうな棋士もいる。

この熊坂学さんがその人だ。すでに引退しているが、インターネット上ではクマーと呼ばれ親しまれていた。

 

将棋界の制度を説明すると、プロになった棋士順位戦でC級2組に所属する。毎年リーグ戦を戦い成績が良ければC2→C1→B2→B1→Aと昇級し、A級で成績トップが名人に挑戦できる。逆に成績が悪ければ落ちるのだが、C2で悪い成績を3回とるとフリークラスというところに行く。そして、フリークラスでも所定の成績をあげればC2に戻れるが、10年たっても戻れない場合は引退になるのである。

 

そして熊坂さんは、プロデビューするもその年からC2で3連続降級点をとりフリークラスへ。フリークラスでも10年戻れずそのまま引退へ。つまり制度上最短で引退に追い込まれてしまった人なのだ。

 

ただ、引退間際の将棋やその後のインタビューなどを見てるとあまり危機感はなかったようである。今は故郷の仙台に戻り子供相手の将棋教室をやっているようだ。

 

この2015年の年鑑は熊坂さんが引退となった年。そして、これまで将棋年鑑にのることはほとんどなかったであろう熊坂さんの棋譜がのっている。NHK杯戦で香川愛生女流王将に勝利したときの棋譜だ。引退間際にテレビで勝った将棋を見られて本当に良かった。

 

そしてアンケートの今年一年の目標という問いには新たな道をと答えている。人生100年時代と考えれば、若いうちに第二の道のスタートを切れたと考えることもできる。

どうやら匿名掲示板では今でもクマーの人気は続いているようだ。頑張れ、クマー!