棋士の一分 将棋界が変わるには

棋士の一分 将棋界が変わるには (角川新書)

はっしーが2016年に出した本。

 

前半は、三浦九段スマホ疑惑と棋士がコンピューターと戦うことについて。

三浦九段問題は、本が出たころには騒動のさなかで、その後、えん罪ということで決着した。

コンピュータについても、上位の棋士が負けて、コンピュータのほうがはっきり強いという結論が出たころである。橋本さんはコンピュータとの対局に否定的な立場だ、プロが負けて恥をかくことによりお金をもらっているというのが我慢できないということだ。また、タイトル戦で、コンピュータの評価値を出すのもプロの価値を落とすということである。

 

本が出されてから数年たって、それらの騒動が終わった後に振り替えると、特に橋本さんの提言は杞憂に終わっているかと思う。確かにプロとコンピュータの戦いはやらなくなったが、タイトル戦ではコンピュータの評価値を出したままだ。それでプロの価値が落ちたかというとそんなわけでもない。

本が出てから5年ほどたって、藤井聡太フィーバーという追い風があったにしても、スマホアプリも入会者は増えたそうだし、アベマでのタイトル戦の中継や、アベマトーナメントなど露出も増えた。女流もタイトル戦が増えた。かなり、いいほうにいってるんじゃないかな。

 

後半は、橋本さんの理事選出馬や生い立ちからプロ入りまで、それから将棋バーのことなどといった自分についてのことだ。

理事選出馬のあとに、精神の調子を崩してしまったらしい。引退宣言もそうだが、精神的なバランスを崩しやすい人なのだろう。

 

細かな豆知識が面白い。記録係は以前は勉強として有効だったが、今では実況があるので、1局しか見られない記録係は勉強としても敬遠されているということ。

理事選は会員あたり5人に投票できるので、立候補者同士が連帯して票をまわしあったり、逆にあの候補にはいれるなという工作があったりすること。