タイトル挑戦なし 順位戦最高位C級1組
ゴキゲン中飛車の創始者。自分の名前をつけなかったあたり控えめな性格なのだろう。ちなみにゴキゲン中飛車の理由は、彼がいつもニコニコごきげんだから。この本にも書いてあるが実家は和菓子製造をしているようで、けっこう大きな会社なのかな。
さて、そのゴキゲン中飛車だが、今では指されなくなったが、かなり長い間大流行した戦法だ。近藤さんが2001年度に升田幸三賞を受賞したので、その前から彼が使って浸透したのだろうが、00年代には居飛車党のオールラウンダーが後手番のときにゴキゲン中飛車を使うといったことがあった。タイトル戦でもちらほら見かけたはずである。
その近藤さんは2004年度には最高第一位賞をとる。しかし、順位戦はC級1組止まりで段位は今でも6段だ。ゴキゲン中飛車が対策されて勝てなくなってしまったのだろう。
そしてこの本を読むと、近藤さんは勝負師といった風ではなく、やっぱりいつでもゴキゲンな人なのだ。そして勉強をあまりやらず、出たとこ勝負といった風である。
この本は2013年に出されたもので、かなりゴキゲン中飛車も研究が進んでいた状態のはずである。そして、創始者の彼が、初期から、戦法や相手の対策の変遷を解説してくれている。
ただ、解説は彼の実戦譜であり、それも途中までだったり、途中からだったりする。系統だった解説をしてくれていない。彼自身、他の棋士のほうが詳しいくらいに思っているのかもしれない。
その代わり他の棋士とのエピソードは豊富だ。他、コラムでプロ入りまでの経緯も書いてくれたり、彼の棋士人生の集大成的本になっている。