後手番で勝つ!中座の横歩取り (マイナビ将棋BOOKS)

後手番で勝つ!中座の横歩取り (マイナビ将棋BOOKS)

 中座真 棋士番号219

タイトル挑戦なし 順位戦最高位C級1組

 

奨励会三段で最終局に敗れ、年齢制限で退会と思いきやライバル三人が全員負けたためプロ入りできた人。これもまた将棋界の厳しさを表すエピソードである。

 

横歩取り8五飛車戦法。これを編み出したのが中座さんであり、中座飛車とも呼ばれる。飛車が中段に居座っており、二重の意味があるわけだ。

この前読んだ勝又さんの本によれば、中座飛車の優秀さは中座、野月、丸山と指し継がれ広まり、そして丸山さんが名人を取ったということだ。

中座さんは勝率が高くない棋士なので彼だけが指していても有名にはならなかったろう。中座さんの手を見て、研究を深めた他の棋士が高い勝率をあげたことによって、メジャー戦法になった。特許料を取れたりしないのが棋士のつらいところだ。

 

この本は2015年発行。横歩取りの本を出すのは14年ぶりということで、同じ横歩取りのうち8五飛車戦法の部分は二割弱くらいしかない。8五飛車戦法は廃れてしまい、旧来の8四に飛車を引く戦法のほうが主流になったということだろう。

マチュアではそもそも横歩取りになることがほとんどない。しかし、羽生さんがアマチュア時代に一番好きだったのは横歩取り戦法だ。激しく、一手間違えば負になる、逆に研究にはめれば格上の相手も倒せる。そのあたりに羽生さんはひかれたそうだ。これもまた将棋の楽しみだ。