将棋指しの腹のうち (文春e-book)

将棋指しの腹のうち (文春e-book)

先崎学 棋士番号185

タイトル挑戦なし、順位戦最高位A級

 

NHK杯将棋トーナメントで時間が余ったときに将棋パトロールというのをやることがあった。神吉さんとペアでやっていたもうひとりがこちらの先崎さんである。

 

才能は羽生以上と言われていたというイメージがあるが、実際誰が言ったのかはわからない。棋士としては、タイトル挑戦もできなかったが、かわりにテレビや著作で有名になった。

 

うつ病になって、その経緯を書いた本も出した。この本は復帰後に書いた本。将棋めしに関する本である。

将棋めしとは棋士が対局中に食べる昼ごはんや晩ごはん。以前はタイトル戦だけ中継があったので、そこで注文するメニューや佐藤康光さんのキウイなどが注目された。そして、今は通常棋戦の対局も中継があるが、そのさいも昼ごはんは必ず実況されている。

 

先崎さんは以前からエッセイを書いていたが、ご飯についてはほとんど書いてこなかった。注目されるようなものとは思っていなかったためである。

それでこのたび、棋士が行く店かいわいに関するエピソードを書いた。もちろん、以前の調子で棋士のエピソードをまじえてである。他にこういうことを書く人もあまりいなそうなので、なかなかに貴重だ。

 

今はなき、みろく庵。親子丼がまずい。ほそ島やに行くと勝浦九段が若手棋士奨励会員の会計を先に払っておいてくれている。

加藤一二三さんは、昔はなべやきうどん、それから寿司、そしてうなぎ。昼も夜も同じものを注文するので有名。背広の左右のポケットに2200円ずついれて、うなぎを頼むのである。昔は2200円だったのだね。ふじもとに行ってみようと思う。