純粋なるもの: 羽生世代の青春

純粋なるもの: 羽生世代の青春

棋士番号146

獲得タイトルは竜王1期の1期。

1988年から開始された竜王戦の初代竜王である。

 

島さんがタイトルを取る前後の、羽生さんらがデビューしたての頃の、羽生を中心としたライバルたちの逸話など。皆、トッププロでストイックなため、河口俊彦さんの対局日誌ほどユーモアのある部分は少ない。

 

通称「島研」についての説明が書かれているのが貴重だ。

羽生をはじめ、佐藤、森内といったタイトルホルダーと研究を行った。当時、研究会の内容が不明だったため、コンピューターを使った特訓とか言われてたようだが、実際はこの本に書かれているように、特別違ったことはやっていない。実践を行い、負けたほうが次は記録係になるというものだった。

6段だった島さんが、奨励会にいた佐藤、森内を誘ったのが始まり。そして、二人が四段になったあとに羽生さんが加わった。

 

「森下は思った。」なんてぐあいに、他人がどう思ったかを勝手に書いてしまっているのはちょっと違和感があった。

 

佐藤康光さんと森内俊之さんの棋風の違いを、佐藤は繊細な読みの幹線道路、森内はワイルドな力強さのオフロードと表現しているのは面白い。今だとどうなるだろうか。

 

羽生さんのあたりから、前時代の棋士とは違って、修行とか人生経験とかに重きをおかなくなったとのことである。将棋自体も、序盤からリードを取るというようなものに変わった。コンピューターにより棋譜がデータベース化され研究しやすくなったというのが理由である。

 

交流のあった人を対象に書いているので、ちょっと遠慮があるのだろう。厳しいことはかけないので、ちょっとそのあたりは食い足りないかな。