棋士番号:120
この人が現役だったときに、私は将棋世界という雑誌を買っていたので名前は目にしていたが、どんな将棋を指していたのかはまったく覚えていない。ほとんど雑誌に取り上げられることもなかったのではないか。はっきりいえば弱い棋士だったのだ。
そんな桐谷さんの名前を久方ぶりに目にしたのは週刊誌の記事だ。週刊現代か週刊ポストか忘れたが、婚約者を米長に寝取られたと訴えたのである。
師匠も違うのでどのように米長と接触したのかわからないが、米長に傾倒し本を執筆したり、愛人への電話連絡もしたという。そして、桐谷さんが自分の婚約者を米長に紹介したところ、米長に寝取られてしまい、そのうえ、彼女と結婚してやれと言われてしまったということである。
米長も米長だが、桐谷さんもへんなのは、それを何回か繰り返したということだ。ジャイアンにラジコンを取られるとわかってるのに見せびらかすスネ夫みたいな感覚だったのだろうか。
そのあたりはわからないが、米長が先に死んだ。桐谷さんは生きている。
そうはいっても桐谷さんは負け組だろう。
将棋の実績も、女性についてもいいところがなかったのだ。
しかし、引退から何年も経って、優待株の投資をするということで、桐谷さんがお茶の間の人気者になるのだから人生とは不思議なものだ。
桐谷さんが株に興味を持ったのは、証券会社への将棋を教えにいったことがきっかけだということだ。これもまた縁であろう。ただ、その後リーマンショックにあい、信用取引をやっていた桐谷さんは危機的状況に陥ったということだ。
さて、この本では優待株全般や個別銘柄について述べていて、将棋のことは触れられていない。ただ、あとがきで、将棋で伸び悩んでいたときやリーマンショックで危機に陥っていたときに、温かい言葉をかけてくれた女流棋士がいたと書かれている。
具体の棋士名は書かれてないが、当時人気の女流棋士ということや、米長つながりということで、林葉直子さんだったのではないかと思われる。