聖徳太子

放送局:NHK

初回放送日:2001年11月10日

聖徳太子 [DVD]

タイトルには聖徳太子とあるが、ドラマの中では聖徳太子とは呼ばれておらず、廐戸皇子が主人公である。ただ、ドラマでは推古天皇の摂政になっていて、十七条の憲法や冠位十二階も聖徳太子の発案となっているので、聖徳太子は実在しなかったという説までは採用してないようだ。

 

この時代のドラマは貴重なので、予算をかけて作ってくれたのは嬉しい限り。役者陣も一流どころがそろっている。柄本明宝田明がいい味出してる。それと蘇我馬子の娘の刀自古の子供時代を演じたのは戸田恵梨香で、これが出番は少ないもののなかなか似合っている。 

 

ドラマの方は、仏教を排斥しようとした物部氏と仏教を採用した蘇我氏の争いが前半のハイライト。ただし、蘇我馬子は仏教を受け入れつつも戦争に負けそうになると、仏に祈ったのに御利益がないことに不服をいうなど、現実的な側面をみせる。

 

そして後半。現実主義の蘇我馬子物部氏との争いに関し、援助を受けた百済の要請を受けて、新羅への出兵をしようとする。対して厩戸は仏教を信仰した理想主義から戦争を避けようとする。

十七条の憲法の第一条は和を持って尊しなすである。そこに、厩戸の思想の核があるとドラマの製作者は考えたのであろう。

ただ、厩戸と蘇我馬子が対立したという歴史的事実の根拠があるわけでもなく、ただ戦争反対を繰り返して馬子や他の豪族を抑え込めたとも思えないので、かなり説得力のないラストだった。

 

隋への信書の日出処の天子がエピローグで語られただけだったのは残念。ここをハイライトにして、なぜ隋にこのような信書を送ることができたのかと、そこをドラマで理由付けしてほしかったね。